イサオスタジオ Blog

「イサオスタジオ」という映像制作会社のBlogです。 映像や音声の制作技術の話題にとどまらず、料理や旬の話題まで「皆様のお役に立てそうな記事」を書いています。

Windows10 LTE内蔵ノートPCでAPNの不具合を改善する【2020】

【2020/02/12 追記】 APN設定だけではダメだった!LTEネットワークアダプタのルーティングなどをいじって安定接続ができてます。
(100%ではないですが・・・再起動は殆ど要りません)別記事にまとめました。

blog.isaostudio.jp


もくじ

【LTE安定接続にハマったきっかけ】

2019年の春にLTEモジュール内蔵のThinkpad X1 Cabonを購入。

 

これからはテザリングなしでガシガシネットに繋ぐぞ!と張り切ってみたものの、実際は安定せず「肝心な時に切れている・繋がってない」という状況が続きました。

 

これでは意味が無いと試行錯誤してLTEへの安定接続法を試しているうちに「繋ぐこと自体」にハマってしまいます。

 

前回記事を書き、約1年弱経ちましたが、今までの中では一番安定してLTEを継続して掴んでいる方法を見つけたのでまとめてご紹介します。

 

※また今回ご紹介する方法をお試し頂きまして接続の状況をコメントなどで教えて頂けますと幸いです。

 

お時間のある方は前回記事もご覧下さい。

 

(参照)前回記事

 

(コマンドプロンプトも呼び出して少々面倒なのでお急ぎの場合はすぐに本題に飛んでもらって大丈夫です)

 

 

【繋がらないときの症状】

  • WindowsのWANモジュール内蔵ノートには共通して付きまとう課題のようですね。 他のBlog記事を参考にしながら、私が実験をしていて見えてきたこと・・・
  • キャリアによって接続安定度が異なる(IIJのタイプDは掴んでも暫くしたら圏外・・・。タイプAは大丈夫。とか)
  • 既定のAPNの設定が邪魔をしている。コマンドで消しても暫くしたら既定のAPNが戻っている。
  • 上手く繋がっても肝心なときに携帯ネットワークそのものが消えていて繋がらない→再起動。

こんな感じかと思います。

 

いざ使おうとしたときに電波を掴んでなくて再起動をかけるハメになりイライラが募ります。(スマホがいつも繋がっていてプッシュ通知が届くのは当たり前じゃないってことに気づきます(笑))

 

1.新しい方法

では、上記の不具合がかなり改善された方法の解説です。

  • プロビジョニングパッケージの作成

    • プロビジョニングとは・・・

      プロビジョニングについての解説はこちら

      を)を参照して頂くとして、LTE接続に関してだけいうと「APNの情報を書いたパッケージを作成してWindowsに適用する」といったところです。これまでは設定 > ネットワーク > 携帯電話・・・と進んでAPN情報を都度入力、設定していましたが、この方法ではAPNの記述をMicrosoft提供のアプリ「Window 構成デザイナー」でAPN情報を記述して保存し、パッケージファイルを作成します。

  • Windows 構成デザイナー(Windows Configuration Designer)のインストール

    • こちらから「Windows 構成デザイナー(Windows Configuration Designer)」をダウンロード、インストールします。※アプリは英語版ですが特に難しいところはありません。
    • インストールが終わったら、スタート画面または [スタート] メニューの検索ウィンドウで、「Windows Configuration Designer」と入力して Windows Configuration Designerのショートカットをクリックしてアプリを開きます。
  • プロビジョニング パッケージで携帯ネットワーク(APN)設定を構成する

    (準備)

    • File > New Project と進み新しいプロジェクトを作成します。

    • 下写真のように「任意のプロジェクト名」「保存場所」を指定します。パッケージの説明も記載できます。

       

       

    • 次に進むと「Select project workflow」と表示されますが、そのまま次へ進みます。

    • 「All Windows desktop editions」を選択し、次へ進みます。

       

    • Import provisioning package(optional)は、何もせずそのままFinishします。

       

    (設定)

    • 左側のタブから「Runtime settings > Connections > EnterpriseAPN」 とツリーを降りて行きます。

    • 名称を設定して「Add」をクリックします。(私は、IIJmio LTE Setting としました)

       

    • すると左側のタブ「EnterpreiseAPN」に項目が追加されているのでクリック。

      右側のウィンドウにある設定項目を埋めていきます。

     

    (設定値の詳細)[ ]内は設定値。IIJmioのAPN情報をサンプルとして入れています。

     

    • AwaysOn [TRUE]

      (デフォルトでは、接続が使用可能な場合、接続マネージャーは自動的にAPNへの接続を試みます。 この設定を無効にできます。)

    • APNName [iijmio.jp]

      (APNを設定します。私の場合はIIJmioのAPN値です)

    • AuthType [PAPまたはCHAP]

      (認証タイプを設定します。IIJmioの場合はPAPか、CHAPになります)

    • ClassId [ネットワークアダプタの プロパティ > 構成 > 詳細 > クラスGUIDの値をコピーして貼り付けます。] (下に画像あり)

       

      ※初稿では「未記入」としていましたが訂正します。

    • Enabled[TRUE]

    • IccId[個別の値]

      (Windowsの設定 > ネットワークとインターネット > 携帯電話 > 詳細オプション へ進み、下部に記載のあるプロパティの最下段「SIM ICCID」をコピーして貼り付けます。下にあるコピーをクリックすると、他の設定値もテキストとしてコピーされますから、メモ帳などに保存しておくと便利です。下に画像あり。)

    • IPType[IPv4]

    • IsAttachAPN][True]

    • Password[iij] IIJmioの場合のパスワードです。

    • Roaming[Disallowed] 普段はローミングしないのでDisallowedに設定します。

    • UserName[mio@iij]

      IIJmioの場合のユーザー名です。

       

    (画像)

    ネットワークアダプタ GUIDの表示箇所

     

    (画像)

    SIM ICCIDの表示箇所

    (設定の保存)

    • メニューバーの「Export > Provisioning package」へ進み、「Next」をクリックします。

    • 「Select security details for the provisioning package」は、何もせずそのまま進みます。

    • 「Select where to save the provisioning package」で、保存場所を指定します。(最初のままでよければそのまま進みます)

       

    • 最後に「Build the provisioning package」Buildを押して、パッケージを作成します。

       

     

    2.プロビジョニングパッケージのWindowsへの展開

    次に作成したプロビジョニングパッケージをWindowsに展開しAPNを設定します。

    • プロビジョニングパッケージのファイルをUSBメモリにコピーします。 (フォルダ内にいくつかファイルができますが.ppkgという拡張子のファイルのみでOKです)

    • [スタート] メニューの検索ウィンドウで「プロビジョニングパッケージの追加または削除」と入力し設定へ進む。 (2020.02.13追記: 検索窓にキーワードを入れても設定の画面しか出なかったので下記の方法に修正します)

    • 設定 > アカウント > 職場または学校にアクセスする >(右側の関連設定)プロビジョニングパッケージを追加または削除する > プロビジョニングパッケージの画面に進みます。

    • パッケージの追加(+)をクリック

    • リムーバブルメディアを選択。 (USBメモリにパッケージファイルが入っていたら、作成したファイルが表示されている)

    • 作成したパッケージを選択して追加する。(信頼できるソースからのものですか?と表示されたら、はい、追加するをクリック)

      ※USBメモリを使わず、ローカルの保存先にあるプロビジョニングパッケージのファイルを右クリック > プログラムから開く > Provisoning package runtime processing tool を実行し適用することもできます。

     

    以上で設定完了です。 (すぐ設定が反映されて接続を試みますが、念の為再起動しておくといいでしょう。)

     

    3.設定・動作確認

    Windowsの設定 > ネットワークとインターネット > 携帯電話 > 詳細オプションへ進みます。

    • インターネットAPNと、APNを添付するの項目に「管理APN」と表記されているか。

    • それぞれアクティブ化済み・適用済みか。

       

       

    • アンテナピクトが立っており、アンテナピクトをクリックしてLTEの表記があるか。

       

       

     

    以上の方法で、プロビジョニングパッケージを適用してLTE接続を行えます。

     

    私はこの方法で今までになく安定して接続が継続していますが、まれに電波を掴まなくなるときがあります。その際は下記をお試し下さい。

    • 機内モードにしてから戻す。
    • ネットワークアダプタを一旦、無効にして有効に戻す。

    それでもダメな場合は、先ほど作ったプロビジョニングパッケージのUSBを常備しておき、再度同様に設定を当てると治るかと思います。(2020/02/13 追記:USBメモリを使わず、ローカルの保存先にあるプロビジョニングパッケージのファイルを右クリック > プログラムから開く > Provisoning package runtime processing tool を実行し適用することもできます。

     

     

    まだ途上ではありますが、上記設定が皆様のLTE安定接続のお役に立てれば幸いです。

    また設定などについてご質問、ご意見お待ちしております。

     

     

     

    【参考にしたサイト】

    Windows 構成デザイナーのインストール(Microsoft)

    Windows 10 向けのプロビジョニング パッケージの作成(Microsoft)

    プロビジョニング パッケージの適用(Microsoft)

    Configure cellular settings for tablets and PCs(Microsoft)

    Windows 10: エンタープライズ APN が SIM の変更または MBN アダプターのエラーの後に失われる(Microsoft)